株式売買では、公平かつ効率的な取引を実現するために「価格優先」「時間優先」「成行優先」という3つの基本ルールが存在します。
これらは証券取引所におけるオーダーの処理において不可欠な原則で、投資家に平等な機会を保証するために厳格に適用されています。
本記事では、これらのルールを理解し、実践するための詳細な説明とコツを解説していきます。
株式市場には公平な取引のためのルールがありますが、その中でも「価格優先」というのはとても重要です。
このルールはとてもシンプルで、株を売るときは一番高く買ってくれる人の注文が先に、株を買うときは一番安く売ってくれる人の注文が先に処理されるというものです。
例えば、あなたがカブを市場で売っているとします。
複数の人が買いたいと言っていますが、誰かは10円で、誰かは20円で、そして誰かは40円で買いたいと言っています。
この場合、価格優先のルールによると、40円で買いたいと言っている人へ先に売ることになります。 なぜなら、それが最も良い価格だからです。
次は逆に、あなたがカブを市場で買いたい場合を考えてみましょう。
複数の人が売りたいと言っていますが、誰かは70円で、誰かは50円で、そして誰かは40円で売りたいと言っています。
この場合も、価格優先のルールによると、40円で売りたいと言っている人から買うことになります。 なぜなら、それが最も良い価格だからです。
イラストの場合、AさんとHさんの売買が成立することになります。
同時に注文を出したとしても、売り注文のときは1円でも安い売り注文を出している人、買い注文のときは1円でも高い買い注文を出している人が優先されます。
このシンプルな原則が、株式市場をフェアにしています。
誰もが最高の価格をつけることに努めるため、市場では自然と価格競争が生まれます。 そして、全員がフェアなチャンスを得ることができるのです。
ただし、同じ価格で株を買いたい人がたくさんいる場合はどうでしょう?
ここで次のルール、「時間優先」が登場します。これについては、次の部分で詳しく説明しますね。
「時間優先」とは、株式市場での取引において、同じ価格で注文が出されたときに、どの注文を優先して処理するかを決めるルールです。
これは、先に注文を出した人が優先されるというものです。
例を使って説明すると、もし公園でかき氷を売っているとして、2人のお客さんが同じ100円でかき氷を買いたいと言ったとしましょう。
でも、かき氷は残り1つだけです。
このとき、誰に売るかを決めるには、どちらのお客さんが先に注文をしたかが重要になります。 最初に来たお客さんに売るのが、時間優先のルールに沿った行動です。
株式市場でも同じで、たとえばあなたが買いたい株の価格が決まっていて、他にも同じ価格で買いたい人がいた場合、一番最初にその価格を提示した注文が最初に処理されます。
これによって、株式市場は「早い者勝ち」の公平性を保っています。
このルールがあるおかげで、投資家は速やかに行動することで、欲しい株を確実に手に入れるチャンスを持てるわけです。
ですので、注文を出すときはタイミングも大切ということが言えるでしょう。
株の注文方法は、成行(なりゆき)注文と指値(さしね)注文の2種類あります。この2種類を比較すると、成行注文が優先されます。
では、それぞれの違いをみてみましょう。
成行優先の原則は、株式取引において「すぐにでも取引を成立させたい」と考える人たちにとって重要なルールです。
この原則は、価格を指定しないで、現在の市場価格で即座に株を買ったり売ったりする注文のことを言います。
価格がいくらでも良いから買いたい・売りたいという注文方法のため、売買価格は取引きする相手によって決まります。
成行注文を出した人が一番有利な相手と取引きが成立しますので、売買が成立するのは下記のような場合になります。
簡単な例で考えてみましょう。
スーパーで買い物をするとき、値段を見てから「これを買う」と決めることが多いですよね?
でも、急いでいて、とにかく早くお米を買って帰りたいとします。 その場合、価格を比較する時間がなく、棚にあるお米をすぐにカゴに入れるかもしれません。
これが「成行注文」に似ています。
株式市場で成行注文を出すと、注文を受けた瞬間の市場価格で取引が行われます。
これによって、株の価格が急に上がったり下がったりする時でも、取引がすぐに行われるので、希望する取引を逃さずにすませることができます。
成行注文のメリットは、取引がすぐに確定することですが、市場の価格が急変する場合は、予想外の価格で取引が成立するリスクもあります。
ですので、成行注文は「とにかく早く取引をしたい(すぐに売ってしまいたい、買いたい)」ときに便利ですが、市場の動きをよく見て使うことが大切です。
なぜなら、思っていたよりも安く売れたり、高く買ってしまう可能性があるためです。
成行(なりゆき)注文の特徴
指値注文は、株式投資において「この価格なら買いたい、この価格なら売りたい」と投資家が指定した特定の価格で取引を行いたいときに使用する注文方法です。
日常での買い物で例えるなら、あなたがフリーマーケットで欲しいものを見つけたとします。
その商品についている値札が少し高いと感じた場合、あなたは「この値段までなら払える」と出店者に交渉をするかもしれません。
出店者がそれを受け入れたら取引が成立しますが、受け入れなければ取引は成立しません。
これが指値注文に似ています。
株式市場での指値注文は、投資家が希望する特定の価格を設定し、その価格に達した時だけ取引が行われるようにします。
たとえば、「この株は1株500円までなら買う」と指値注文を出せば、株価が500円以下になった時にのみ、注文が実行されます。
指値注文のメリットは、希望した価格でのみ取引をすることができる点です。
これにより、予算を超えてしまうことなく、自分の計画通りの投資が可能になります。成行注文のように安く売れてしまったり、高く買ってしまうことがないということです。
しかし、市場価格が指定した価格に達しない場合、取引は実行されません。
つまり、成立するまでに時間がかかる場合があり、市場の動きによっては取引が成立しないリスクもあるのです。
指値(さしね)注文の特徴
株式市場に参加するとき、理論だけではなく実際の取引でこれらのルールをどう活用するかが重要です。
以下に、実際の取引シナリオを想定して、価格優先、成行優先の原則をどのように実践するかをご紹介します。
1. 価格を重視した取引(指値注文)
価格が最も重要な要素である場合、指値注文を用いて希望する価格を指定します。
例えば、株価が下がり500円になったら買いたいと考えているなら、500円の指値買い注文を出すことで、その価格に達したときだけ購入が行われます。
価格がそのレベルにならなければ、取引は実行されません。
株は安く買って高く売ると利益がでますから、1円でも安く買い、1円でも高く売りたいですね。ですから、買い注文の場合は、現在の株価より安い希望の価格で注文を出しておきます。
注意したいのは、成行注文と違い、指定した価格まで株価が下がらないと取引が成立しないので、その日のうちに株が買えないこともあります。
そのため、有効期限を決めて注文を出しておくと便利です。
例えば、当日中、今週中、今月中、任意の期間指定などがあります。
2. すぐに取引をしたい(成行注文)
市場の価格を気にせずに、ただちに株を売買したい場合は成行注文を出します。
この注文は、市場で即座に実行されるため、急速な市場の動きに対応するのに適しています。
ただし、市場の価格が急激に変動すると、予想外の価格で取引されるリスクがあります。
実践のコツ
※逆指値注文(ストップロスオーダー):通常の指値注文とは逆の条件で発注する注文方法。「〇円に下がったら売却する」という条件が付いた注文のことで、損失を一定の範囲に限定することができます。
これらのルールと実践方法を理解し活用することで、株式売買をより効果的に行うことができます。 投資は計画的に行い、市場の変動に柔軟に対応することが、成功への鍵となります。
各種注文の出し方を練習するために、少額での取引から始めて、経験を積むのがおすすめです。
1株から購入できる単元未満株と呼ばれるものがありますので、試してみると良いですよ。
[まとめ]
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